前回の歴史クイズ(復習)→第6章Lesson1
前1500年頃、牧畜民であるアーリア人は中央アジアからインダス川の流れるインド北西部に進入しはじめました。前1000年をすぎると、アーリア人はより肥沃なガンジス川の上流域へと移動していきます。
農耕による定住生活で生産に余裕がうまれ、強い権力をもつ王が人々を支配するなかで、バラモン(司祭)、武士、農牧民や商人、そしてシュードラとよばれる隷属民の4つにわかれる身分制度が生まれました。
アーリア人の進入とインドの身分制度について学んでみましょう。
【第6章Lesson2】中学歴史要点クイズ問題スタートです!
目次
北方の遊牧民アーリア人がインドに進入!インダス川流域からガンジス川流域へ移動
( )のことばを答えてみよう!
- 「◯―◯◯人」です。インドのサンスクリット語では「高貴」を意味するāryaと書き、英語でAryanと書きます。
- インドでは、ヒンドゥー教の女神の名をつけて「ガンガー」と呼ばれています。インダス川とならぶ大河であり、「聖なる川」でもあります。
❶「アーリア人」
中央アジアに住んでいた牧畜民であるアーリア人は、前1500年頃、インド北西部のパンジャブ地方に進入し、インダス文明をつくった先住民を征服しました。
前1000年をすぎると、アーリア人はインダス川の流域から、より肥沃なインド東部のガンジス川の上流域へと移動します。農耕による定住生活で生産に余裕がうまれ、強い権力をもつ王が人々を支配し、階級による社会を形成しました。アーリア人は学問を重んじる風潮をつくりだし、古代インドでの仏教誕生へと繋がっていきました。
負の使われ方をされた歴史があります。ヒトラーのナチス・ドイツは、アーリア人は金髪、青い目、長身、やせ型という身体特徴をもち、ゲルマン民族こそがそれであるとして人種差別を正当化し、ユダヤ人を虐殺しました。
❷「ガンジス川」
ガンジス川流域に移動したアーリア人は、鉄製の道具を開発して森林を開墾し、鉄の刃先をつけた木製の犂(すき)を牛に引かせて田畑を耕し、農耕定住生活を築くようになっていきました。
モンスーン気候で雨量の多いガンジス川流域では、大麦や小麦から、イネの栽培が中心になっていきました。
ガンジス川
アーリア人の王国は4つの身分制度をつくる?バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラ
( )のことばを答えてみよう!
- 身分制度の中で最上位の司祭階層のことです。「◯◯◯◯」と言います。この教えを◯◯◯◯教と言います。
- 人は、司祭階層、武士階層、農民や牧畜民や商人の階層、隷属民の階層という4つに分かれるとする「◯◯制度」です。「ヴァルナ制」と呼ばれています。
❶「バラモン」
身分制度であるヴァルナ制の最高身分が司祭(僧)階層のバラモンです。
バラモンたちは、世界を善悪の二つの神のグループの戦いとして描写するバラモン教の複雑な祭祀(さいし:祭りの儀式)を正しくとりおこなうことで神々から恩恵をうけるとして、人は生まれた身分によって上下関係があると考えるインド社会の風土と結びつきます。
やがてインド特有のカースト制度が形成されていきました。
バラモン階級の人々(インド・カルナータカ州)Wikipedia
❷「身分制度」
この身分制度はヴァルナ制と呼ばれます。人は、バラモン(司祭)、クシャトリヤ(武士)、ヴァイシャ(農民・牧畜民・商人ら平民)、シュードラ(隷属民)の四つの身分にわかれるとするものです。先住民である一族は、最下層であるシュードラに位置づけられ支配されました。
4つのヴァルナのさらに下には枠外の不可触民(ふかしょくみん=触れることも許されない卑しい人々)も置かれ、差別されるようになります。
この身分制度は、他の集団の者と結婚したり食事を制限する社会風土と結びつきカースト制度となりました。カースト制度は、現代のインド社会にも大きく影響を及ぼしています。
カースト(Wikipedia)
インダス川流域とガンジス川流域の違いを調べてみよう
インドに古代文明の起こり最初の都市国家が誕生したのはインダス川流域です。ヒマラヤの雪解け水が流れ込むため、雨季だけでなく乾季でも流量が安定し、流域では大麦や小麦の栽培が行われています。
全体として乾燥気候で、北部はステップ(乾燥草原)、南部は砂漠が広がります。現在のパキスタンを流れてアラビア海に出ています。モヘンジョ=ダロなどインダス文明の遺跡がありましたね。
ガンジス川は、インド東部から現在のバングラデシュを流れベンガル湾に出ています。ガンジス川流域は温帯モンスーンの影響を受けて温暖多雨気候で肥沃な農業地帯であり、イネの栽培が広がっています。また、ガンジス川はインド人にとって「聖なる川」です。
ヒンディー語やサンスクリット語では「ガンガー」と呼ばれています。これはヒンドゥー教の川の女神の名です。ヒンドゥー教徒の多いインドでは、火葬した骨をガンジス川に流して清める風習があります。
ヨガの聖地リシケーシュを流れるガンジス川(出典:Wikipedia)
コーヒーブレイク:『インドラ』は日本に伝わると帝釈天
バラモン教の神々の一つインドラはインド神話における雷神です。賛歌集「リグ・ヴェーダ」にはインドラに最も多くの讃歌が捧げられています。バラモンのことばであるサンスクリット語で書かれた叙事詩「ラーマーヤナ」には鋭い武器を持つ天空の神として登場します。インドラは、仏教では「帝釈天」と漢訳されます。
ここまで来ると、何か親しみ深いですね。
「帝釈天(たいしゃくてん)で生湯を使い、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフーテンの寅と発します」・・・これは50本を数える日本の国民的映画の主人公のあいさつの仕方でしたね。なんという映画ですか?・・・これがわからない男は、つらいなぁ〜!
次回の歴史クイズ→第6章Lesson3
※順番に読み進めると知識が深まります。
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