前回の歴史クイズ(復習)→第4章Lesson1
ギリシャの首都アテネにはパルテノン神殿やギリシャ彫刻があります。オリンポスの神々のギリシャ神話、「ピタゴラスの定理」の発見、真理とは何かと考える哲学者ソクラテスやプラトン、自然・社会の学問を高めたアリストテレスが活躍しました。
やがて、マケドニアのアレクサンドロス(アレキサンダー)大王は東方遠征で大帝国を築き、ヘレニズム文化を生み出します。
さあ、世界遺産、ギリシャ歴史の旅に出発です!
【第4章Lesson2】中学歴史要点クイズ問題スタートです!
目次
ギリシャといえば彫刻に神殿の世界遺産。「てつがく」は漢字では?
( )のことばを答えてみよう!
- スタイルの良い人を「◯◯◯ャ彫刻」のようだ、といいます。
- ギリシャは多神教です。どこの都市国家(ポリス)にも、町の中心部に、まず、これが建造されました。漢字2文字。
- 大学にも◯◯科という学科があります。有名な◯◯者にはソクラテスやプラトン、「我思う、ゆえに我在り」といったデカルトがいます。アフガニスタンで30年間、現地に井戸を掘り、用水路を引いて人々の命を救い、2019年に殺害された日本人医師の名前が中村◯さんでしたね。その名が入る学問です。
❶ ギリシャ彫刻
ギリシャの都市国家(ポリス)、とりわけ中心ポリスのアテネでは、多くの仕事は奴隷が請け負っていたため、市民は、民会や、民会の開かれていた広場であるアゴラで議論し、体育場で体を鍛える余暇をもつことができました。
市民は、公私ともにバランスのとれた能力を発揮することを理想として、すぐれた科学、文学、哲学、建築、美術が生み出しました。
ギリシャ彫刻も調和と均衡の美しさが追求され、「八頭身美人」と言われるような女神像や、理想的な人間の肉体美を表現しました。
パルテノン神殿のフリーズ彫刻、紀元前440年頃。(出典:Wikipedia)
❷ パルテノン神殿
アテネの中心にあるアクロポリスの丘の上に建造されたパルテノン神殿は、アテネの民主政の最盛期を象徴するギリシャ建築の代表で、15年の歳月をかけて建造されました。
当初は、青・赤・黄色などで鮮やかな彩色がほどこされ、神殿内部には黄金と象牙(ぞうげ)でできた巨大なアテナ女神像が安置されていました。
今日でも、均整のとれたギリシャ建築の美しさが残されています。
ギリシャ彫刻やギリシャ建築は、やがて、オリエントの文化と融合して、ヘレニズム文化を生み出していきます。
ギリシャのアクロポリスに建てられたパルテノン神殿(出典:Wikipedia)
❸ 哲学
ギリシャ文明は、明るく合理的で人間中心的な文化を生み出したと言われます。
市民が対等に議論することができるアゴラや民会の場が直接民主政のポリスにはあり、哲学もそうしたポリスの精神風土の中で育まれます。
その中心地はアテネでした。「真理とは何か」「人間はいかに生きるべきか」など、事物の根元的な在り方や、人生観、世界観を理性によって求めようとする学問を哲学といいます。
ロバ先生の紹介した「教えるとは、未来を共に語ること。学ぶとは、真実(まこと)を胸に刻むこと」といった詩人、ルイ・アラゴンの言葉も哲学の一つと言えます。
ルイ・アラゴン(出典:Wikipedia)
ギリシャ時代の代表的な哲学者三人は覚えておこう!
ソクラテス
ソクラテス(出典:Wikipedia)
紀元前469年頃 – 紀元前399年
真理の絶対性を説いたソクラテス。
プラトン
プラトン(出典:Wikipedia)
紀元前427年 – 紀元前347年
魂の目によってものごとの真の姿(イデア)を見ると考え、少数の有徳者が政治を行う理想国家を説いたプラトン。
アリストテレス
アリストテレス(出典:Wikipedia)
紀元前384年 – 紀元前322年3月7日
プラトンの弟子、アリストテレス。彼は、経験と観察を重んじ、自然から社会にいたるあらゆる方面を研究し「万学の祖」とよばれました。のちに大王となるアレクサンドロスの家庭教師もしたのですよ。
アレクサンドロス大王の東方遠征で、ヘレニズム文化が生まれた!
( )のことばを答えてみよう!
- エジプトの都市アレクサンドリアは、彼の名からつけました。
- 「ヘレ◯◯◯」文化です。
❶ アレクサンドロス(アレキサンダー)大王
紀元前4世紀前半、ポリスを作らなかったギリシャ北方のマケドニアが軍事力を強め、スパルタを除くすべてのギリシャのポリスを支配しました。
その子、哲学者のアリストテレスも家庭教師をしたアレクサンドロス大王は、マケドニアとギリシャの連合軍を率いて、いままでギリシャ諸国の争いに干渉してきたペルシアを打つため前334年、東方遠征に出発しました。
アレクサンドロス大王は、ペルシア王を打ち破ってエジプトを征服し、ペルシアを滅し、さらにインド西北部にまで広がる大帝国を築きました。
エジプトには、彼の名をつけた都市「アレクサンドリア」が残されています。
アレクサンドロスは「父のピリッポス2世から生を受けたが、高貴に生きることはアリストテレスから学んだ」という言葉を残すほどに、アリストテレスを最高の師として尊敬していました。
アリストテレスの講義を受けるアレクサンドロス(出典:Wikipedia)
❷ ヘレニズム文化
アレクサンドロスの東方遠征によって、東西に広がる大帝国が築かれ、ギリシャの文化がオリエントの文化と融け合って、ヘレニズム文化が生まれました。
エーゲ海のミロ(ミロス)島から出土した、美と愛の女神アフロディテ(英語でヴィーナス)像は、女性の理想美を表現したヘレニズム彫刻の代表的作品です。
ミロのヴィーナス(出典:Wikipedia)
ヘレニズム時代は世界市民主義の思想が生まれる
ヘレニズム時代には、ポリス中心の考え方ではなく、世界市民主義(コスモポリタニズム)の思想が生まれました。
自然科学の発達は著しく、アルキメデスは、流体(液体・気体)の中の物体は、押しのけている流体の重さと同じ浮力(ふりょく)を受ける、という「アルキメデスの原理」はじめ、数学や物理学の原理を発見しました。
ギリシャ語がこれらの地域の共通語として使われました。
ギリシャ神話について調べてみよう
古代ギリシャから伝承されてきた神話で、多くの神々が登場し、人間のように愛したり、憎みあったりするドラマが展開されていきます。
詩人ホメロスの書いた「オデュッセイア」は、実際にあったトロイア戦争を背景にして、嵐の海に漂流して記憶を失った英雄オデュッセイアが、一つ目の巨人を酔わせて倒し、人を惑わす精霊を振り切り、故郷の愛する妻のもとへ帰るというすぐれた作品です。
オリュンポス神々には、最高神がゼウス、女王ヘーラーのほか、海の神ポセイドン、美青年のアポロン、情報の神ヘルメス、戦いの女神アテナ、人間に天界の火を教えたプロメテウス、美の女神アフロディナ(ヴィーナス)、怪獣を倒す英雄ヘラクレスなど、どこかで聞いた名前が出てきます。上半身は人間で下半身が馬のケンタウロス。
翼があって空を飛ぶ天馬ペガサス。人を魅惑する歌で滅びをもたらすと船乗りに恐れられた精霊セイレーン。すべての贈り物をもつ美貌のパンドラのもつ宝の箱を開けると中から人間を不幸にするものが飛び出したが、最後に1つ残っていたのが希望だった、との話もあります。
ギリシャ神話の神々として伝えられている英雄や巨人は、サタンにしたがって地上に落とされた堕天使であり、彼らと人間の女性との結婚に怒った神がノアの洪水の裁きを起こした、との意見もあります。
ギリシャ神話には、聖書の物語が変形したもの、歴史的事実を反映したもの、道徳や哲学などの真理が混ざり合ったもの、多様な自然現象を擬人化したもの、そして、後の時代になっておもしろい物語として書き加えられたものなどが混ざり合っていますね。
次回の歴史クイズ→第4章Lesson3
※順番に読み進めると知識が深まります。
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